no. 23「~しなければならない」の”must”と”have to”の違い

100%ネイティブの英語

100%ネイティブの英語 no. 23
「~しなければならない」の”must”と”have to”の違い

“must”“have to”,どちらも「~しなければならない」の意味ですが,使い分けで迷うことはありませんか。

ネイティブに仕事をお願いして断られる時,たいていは“must”を使ったこんな感じのお返事をもらいます。

“Unfortunately, I’m a little busy for the rest of the month, so I must decline this job. My sincere apologies!”
「残念ですが,今月この後は少し忙しいのでお仕事を断るしかありません。本当に申し訳ありません」

このようなメッセージで,ネイティブが“have to”を使うのを見た記憶はありません。
この“I must decline…”「断るしかない(断らなくてはならない)」というのは,このネイティブが自分の判断で断ることにした,つまり自分の意志で「~しなくてはならない」と決めたことなので“must”を使います。

一方で“have to”は,もっと客観的にまわりの状況や,自分以外の人が決めた規則によって,自分の意志に関係なく従わなければならない場合の「~しなければならない」という時に使います。

たとえば
 “I have to go to school from Monday to Friday”
「月曜から金曜は学校に行かなくてはなりません」

自分の意志か,他人の意思かで区別するとわかりやすいのではないでしょうか。

もちろん,同じ行為をするにしても,自分と他人の意思どっちでも成り立つ場合があります。

たとえば
“I must study English”「英語を勉強しなくてはなりません(と自発的にそう考えた)」
“I have to study English”「英語を勉強しなくてはなりません(嫌々だけど,先生に言われたから仕方なく)」

この“must”は発言者(自分)の意思の表れなので,他の人に対して“You must~”とすると,かなり強い言い方になります。

“You must study English”「あなたは英語を勉強しなくてはならない」なんて言われたら,「なんでお前にそんなこと言われなきゃなんないの?」と反発をくらうの必至。

でも“You have to study English”なら,発言者の意思ではなく,留学や昇進に必要な英語力が足りないとか,試験結果が悪かったとか,何かしらの状況が原因で「英語を勉強するしかないよね」と言われているだけなので,比較的素直に受け止めることができるでしょう。

「~したほうがいいですよ」ぐらいのつもりなら,他の人に“must”は使わない方がいいです。

ただし,例外があるとすれば,話題の新商品を紹介するときに,雑誌などで使われているフレーズの「マストバイ“must-buy” 」という言い方。
言葉通りに「買わなきゃならない」という意味ですが,命令ではなく「絶対に買った方がいい超おすすめ」の意味です。
この場合は,他の人に”You must buy this item”「絶対これ買ったほうがいいよ(超おすすめだから)」と言うことができます。
満面の笑みで言えば,「命令されている」と誤解されることはないと思います。
「あれは見たほうがいい」とか「あれは食べたほうがいい」とか何かを「超おすすめ」する時ならこの“must”が使えます。

“must”“have to”の違いは否定形になった場合にさらにはっきりします。

“must not” 「やってはダメ」
“don’t have to”「する必要はない」

夜中にお水を飲もうと冷蔵庫を開けたら,そこに美味しそうなケーキがあるのを見つけても,“I must not eat the cake now”「今はこのケーキを食べてはいけない」(夜中のケーキは美の大敵ですから!)です。

“don’t have to”のほうは,アメリカの大ヒットしたコメディドラマの”FRIENDS”の中で使われているのを見て,このフレーズを意識するようになりました (90年代に私はこのドラマにどはまりしたのです!)。

主要登場人物の1人のモニカとその母親の会話です。母親はモニカに,親戚(だったと思う)の子供が料理関係の仕事をしたいらしいと話します。そこでモニカの母親はその子に「モニカがレストランを持ってるから」と伝えたと言うと,モニカが「ちょっと待ってママ,私はレストランを持ってるんじゃなくて,レストランで働いているのよ」と言います。そう言われた母親は,とぼけた顔をしてこうつぶやきます。

“Well, they don’t have to know that…” 「あら,それは彼らは知らなくていいわよね」

私個人としてはとても笑える面白いシーンなんですが,うまく伝えられないのが悲しい。自分の語彙力というか文章の構成力のなさを恨みます(モニカのお母さんは,天然,おとぼけのちょっと困ったママでたまに登場します)。
すごく印象的なフレーズで,私はこのシーンで“don’t have to”のニュアンスを学んだ気がしました。

これ、主語が”they”だからいいですが、“you”、つまり目の前の相手に対して“You don’t have to know that”と言うと、「あなたは知る必要がない」となり、ちょっと仲間外れにされたような突き放されたような印象になるので注意です。

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