猫の大腸腺癌⑤ 気持ち的にも、時間的にも、経済的にも、補液は自宅ですることをおすすめします

自宅でやる猫への補液(輸液)のセット うちの猫

私の可愛い可愛い愛猫は2022年12月のはじめに旅立ちました。
ご参考になればと思い、闘病中の体験談を引き続きお伝えいたします。

お水を頻繁に飲ませるだけでは、脱水は良くならなかった

脱水問題が出た頃,最初はできるだけお水をたくさん飲ませてくださいと言われ,後に、病院で皮下補液もできるので,どちらでもOKと言われました。
そこで,自宅でお水を意識して頻繁に飲ませるようにはしたのですが,ウンチは軟らかくならないし,脱水状態はあまり良くならず,すぐに補液をお願いすることにしました。

週1回でも2回でも,毎日でもいいですよと言われたのですが,平日に仕事を終えてから,自宅に帰って愛猫を連れて行っても,診療時間に間に合いません。

そこで,ひとまず週末だけにしたのですが,目に見えて良くなることもなく,結局職場に相談し,おそらく短い期間だけになると思うという悲しい事実も正直に伝え,週の真ん中になる水曜だけ早く帰らせてもらい,病院で補液を受ける回数を増やしました。

先生からまさかの提案:自宅で補液をやってみますか?

ほどなくして,先生から思いがけない提案がありました。
ご自宅で補液をやってみますか?と。
針を刺すんだし,完全な医療行為じゃないかと思うのですが,自宅で家族がやることが許されているそうです。

というわけで,自宅で補液の日々が始まりました。
もちろん病院で先生のレクチャーを受け,先生の見ている前で一人で愛猫に補液をやってみて,OKが出てからです。

15歳とは思えない美人の愛猫
すでに15歳だけど元気まんまんだった頃(約3年前)

愛猫のお世話ができるのが嬉しくてしかたなかった

補液はもちろん本人のためにやるのですが,うちのように余命わずかな場合は特に,そうやって愛猫のお世話をできることは,横たわる姿をただ見守るよりずっとずっと大きな慰めになります。

自己満足だとわかってはいますが,自分でやってあげられることが1つでもあるのは,飼い主にとっては精神的に大きいと実感しました。

自宅での補液を提案するかどうかは,その獣医師次第だと思いますが,病院で補液を頻繁に打ってもらっている方は,ぜひとも,自宅での補液をおすすめします。

針を刺すのはちょっと怖かったですが、慣れればOK

どんなものかわからない方のために,手順を書いておきます。
※ひとりなので、実際にやりながら写真をとることができず、実技の写真無しでごめんなさい。

針を刺す瞬間は毎回ドキドキでしたが,慣れてくるので大丈夫です。
もちろん,実際にやるとなったら,まずは病院のレクチャーをちゃんと受けてくださいね。

猫の補液(輸液)。シリンジの先に針をつけた状態
液をシリンジ内に取り込むための太い針をつけた状態

【補液の準備】
・シリンジに太い針をつけ,液のパックの口に突き刺し,決まった量をシリンジ内に取り込む(うちの愛猫の場合は毎日50 mlでした)

猫の補液(輸液)。液体パックから必要量をシリンジに取り込む
液体パックのフタは外せなくて、針を刺し込めるようになっています

・次に太い針を外して,チューブ付きの細い針に付け替える。
※シリンジから液をプッシュする際にはずれる可能せいがあるので,しっかり押して付ける。
※どうしても少量の空気が入ってしまうので,それを抜くため,空気の入っている部分をチューブの位置に合わせた状態でシリンジを押せば,その空気と液の一部が外に押し出される。

猫の補液(輸液)。愛猫の体の皮下に刺すための針

愛猫の体の皮下に刺すための針

【補液を入れる位置】
・位置は背中側の首のすぐ下あたり。しっぽ側から指を背骨に当てて,下から上に移動していくと,ゴツゴツと続いていた背骨が終わったすぐ上に溝があるのがわかる。
※指が下に沈む感覚の溝(空間)。あるいは,そのすぐ上の両側に肩甲骨があるので,先に肩甲骨を確認して,そのすぐ下の中央の溝という見つけ方でもOK

【注入】
・見つけた溝の部分の皮をつまんで持ち上げる。
・毛におおわれているので,それをかき分けて地肌を出して,その部分をアルコール消毒。
・そのまま持ち上げたまま,消毒した地肌を出した皮部分に針を刺す。
※必ず持ち上げた皮に対して横から針をさす。肺とか内臓を傷つける可能性があるため,下向けに(つまり体に向けて)は絶対に刺さない。
・針先が外に出ていないか確認。
・針の左右に翼のような持ち手がついているので(画像の緑の部分),その片側とすぐ下の猫の皮を一緒に持って,針を刺した部分が動かないようにする。

猫の補液(輸液)。左右に羽のようについている部分と猫の体の皮を一緒につまんで針を固定
左右に羽のようについている緑の部分と猫の体の皮を一緒につまんで、針が動かないようにします

・シリンジをゆっくりと押して,補液を注入する。
※針を刺した部分がぷっくりとふくらんでくるので,液が注入されているのがわかる。
・シリンジが空になり,全量の注入を確認したら,針が刺さっている部分の皮を両側からつまみ,ゆっくりと針を抜く。
・針を刺した箇所は穴が開いている状態なので,そのまま1分ほどつまみ続け,穴をふさぐ。

以上です。

うちの愛猫の場合,針を刺す瞬間も大きな反応はありませんでした。
お母さん猫が子猫の首の後ろの皮だけを噛んで持ち上げても,子猫が痛がらないのと同じで,皮だけに針を刺しても,大きな痛みはないのかもしれません。
 
でも嫌は嫌みたいで,注入中はその場から逃げる素振りはありました。
病院からは,体がすっぽり入るサイズの段ボールに入ってもらうといいとアドバイスをもらいました。
実際,段ボールも試しましたが,そもそも筋肉も落ちて、歩くのもふらつくぐらいの状態だったので、箱に入れずとも制御できないほど動くことはありませんでした。

痩せて筋肉が落ちた愛猫は,後ろ足が体を支えきれずに座り込む。
痩せて筋肉も落ちてしまい、後ろ足が体を支えきれず、最後の日々では、このような体勢になることがたびたびありました。

一気に50 mLとか入れて,ぷっくりと膨らんでくる様子を見ていると,大丈夫なのかと心配になりますが,そこから皮の下全体に広がって,毛細血管からゆっくりと時間をかけて体に吸収されていくのだそうです。

寒くなってきた頃だったので,液のパックごとお湯につけて,ほんのり温かい程度にしてから打っていました。生ぬるい程度。決して温めすぎないように。

点滴液は250 ml入りパックでしたが,一度開封すると,3日以内に使い切る必要があるそうで,うちの場合は1回 50 mlだったので,3回(150 ml)使ったら,残りは破棄となりました。
シリンジも針も1回ごとの使い捨てで,医療器具なので自宅では捨てられず,使用したものは病院で引き取ってもらいます。

気持ち的にも、時間的にも、経済的にも、自宅でやるのがいい

この補液ですが,病院で打ってもらうと,3600円かかりました。
その都度,再診料もかかって,消費税も入るので,結局1回5,000円程度支払っていました。
それが自宅でやると1回分の費用は300円程度です。

なんでもっと早く言ってくれなかったのかなぁ。
毎日やったら1か月で15万かかるし,平日は診療時間にも間に合わないしどうしよう‥‥とか,じゃあ平日は病院に間に合うように毎日早退させてもらうとしたら,収入が減って,ますます月15万は払えなくなる‥‥と,考えが負のループから抜け出せず,死にかかっている愛猫を前に悩む必要なかったのに‥‥。

病院から継続してやる気があるかどうか様子見をされていたのでしょうか。
それともやはり商売ってことで,病院の利益優先だったのでしょうか。
病院の対応の理由はわかりませんが,とにもかくにも愛猫のお世話ができる幸せ,費用,時間すべてにおいて,補液は自宅でやったほうがいいと思います。

猫の大腸腺癌①
猫の大腸腺癌②
猫の大腸腺癌③
猫の大腸腺癌④

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